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日本をめぐる旅〜天空の聖地、高野山

日本をめぐる旅〜天空の聖地、高野山

和歌山県北部、伊都郡高野町に位置する高野山は、標高800mの山上にある真言密教の聖地として知られている。実は、高野山という名前の山はなく、周囲を1000m級の8つの山々に囲まれた盆地をいう。その地形から、高野山は蓮の花にも例えられる。泥の中から茎を伸ばして美しく清らかな花を咲かせる蓮は、仏教において特別な意味を持つ存在だ。今回は、俗世から隔てられた天空の宗教都市への旅に誘おう。

 

高野山の歴史

高野山は、弘仁7年(816年)に弘法大師空海が修禅の道場として切り開いた。「一山境内地(いっさんけいだいち)」と称される高野山は、山全体が金剛峯寺の境内だと考えられている。

空海は平安時代の僧で、真言宗の開祖として知られる人物だ。遣唐使として唐(中国)へ渡ってインド直伝の密教を学び、帰国後、大日如来を信仰対象とする真言宗を確立した。空海が修行にふさわしい場所を探し求めた末に、たどり着いたのが高野山だ。高野山の地主神である狩場明神が白と黒の犬2匹を連れた狩人に化身して、空海をこの地へ導いたという伝説が残っている。

日本では他に類を見ない宗教都市として発展を遂げた高野山には、現在117もの寺院があり、人々の暮らしの中に信仰が息づいている。2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」として、ユネスコの世界文化遺産に登録された。国内はもとより、世界各国から多くの観光客が訪れている。

 

高野山の見どころ

高野山金剛峰寺

高野山内にある117寺院の中心であり、全国に3600ある高野山真言宗の総本山である。風格ある大主殿の大広間をはじめ、雲海の龍を表現した日本最大規模の石庭「蟠龍庭(ばんりゅうてい)」、狩野派の絵師による豪華な襖絵など見どころが多い。

高野山奥之院

弘法大師空海が入定した最大の聖地。参道の入り口である一の橋から弘法大師が眠る御廟まで約2kmの道のりには樹齢何百年もの老杉がそびえ立ち、数十万の墓碑が並ぶ。一歩足を踏み入れると、まるで別世界に紛れ込んだような神秘的な雰囲気が漂う。

壇上伽藍(だんじょうがらん)

空海が高野山で最初に開いた講堂。伽藍には「僧侶が集まり修行する清浄な場所」という意味があり、現在でも修行僧の姿が見られる。金堂や不動堂など19の建物が立ち並ぶなか、一際目を引くのが朱塗の根本大塔。大塔内陣は曼荼羅世界を表しているという。

女人堂

かつて高野山が女人禁制だった時代に、女性が参拝するために設けられた参籠所。女性はたとえ信者であっても、ここに籠り、遠く離れた弘法大師御廟に向かって祈りを捧げることしかできなかった。女人堂は当時の名残をとどめている。

こうや花鉄道「天空」

南海電鉄橋本駅から極楽橋駅までの19.8km、標高差443mを結ぶ観光列車。3枚続きの窓からワイドな眺めを楽しめるワンビュー座席や、山の空気を肌で感じられる展望デッキなどを備え、旅気分が一層盛り上がること間違いなし。

 

宿坊に泊まってみよう

宿坊とは、信者や参拝者のために設けられた寺院内の宿泊施設のこと。高野山には50ヵ所以上の宿坊があり、宗旨・宗派を問わず誰でも宿泊することができる。歴史的な価値のある建物や仏像、美しい庭園を楽しめるとあって観光客に人気が高い。

肉や魚を使わない「精進料理」や、仏教の経文を書き写す「写経」、真言宗の瞑想法である「阿字観(あじかん)」、早朝から読経や礼拝のお勤めをする「朝勤行」など、ここでしかできない体験ができるのも宿坊に泊まる醍醐味の一つ。

せっかく高野山に訪れたなら、宿坊に宿泊して非日常な時間を過ごしてみてはいかがだろうか。

 

1000m級の峰々に囲まれた高野山は、弘法大師空海が修禅の道場として開いた真言密教の聖地である。1200年以上の歴史を持ち、伝統、文化、自然などが凝縮した稀有な場所だ。俗世から切り離された仏の世界で、日々の喧騒を忘れてリフレッシュしていただきたい。

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